いぶし銀の無双釘

SEKI DESIGN STUDIO

和のかたちをスタイリッシュに

無双釘とは、茶室、床の間につけるフックの役目をする金物です。
カギの部分が動かせるようになっていて、掛軸を掛けないときは、壁の中に仕舞えるようになっています。床の間に掛軸を掛けるためには、釘を打たなければなりませんが、できるだけ目立たないようにという配慮がかたちとなっています。奥ゆかしい日本の精神が小さな道具にも宿っています。

手がけた住宅の施主が、お茶を嗜まれる方で、この無双釘をフックにしたいとのご依頼がありました。
この住宅のインテリアは、白染色した木材を多用していることから、黒い無双釘をインテリアに調和させるように銀色にできないかとのご希望でした。金属を染色する仕事は、店舗のインテリアとして多く取り入れてきた経験から、富山県高岡市の銅器加工職人に仕上げてもらうことになりました。銅の着色技術を活かして、2度染めした釘は、いぶし銀となり、何とも言えない鈍い輝きをはなち、新たな命が宿りました。

 

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