祈りの茶会 2019

茶会は華やかなものとはかぎらない。時に祈りを込めて客人をもてなす。
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リビングに「素の間」を置き、外側を待合に見立てる。「anthology」と仮題された篠田 桃紅のリトグラフを吊る。「anthology」は言の葉の集まり、万葉集とも訳されるが、元の語源は花束。床は、仏具の厚畳。地層をイメージさせる林 友子のオブジェに福島の林檎を置く。関の母が福島の出身でたまたま送られてきたもの。杉板を重ねたオリジナルのスツールに腰掛け、時を待つ。裏側に置かれた蹲で身を清める。水の入った陶器はヨーガン・レールのもの。席入り。ヨーガン・レールのスカーフを軸に見立てる。汚れた地球を危惧し、原子力発電に反対するレール氏の言葉が書かれている。その上にバラが吊られている。ピンクの花色はそのままに美しく見えるが枯れている。下にはホトトギス。地上の花はとっくに枯れているが、フラスコの中で根は伸び、芽吹いている。献茶でお供えする手作りの干菓子。蓮の花と葉と蕾。茶碗は、長次郎写し「太夫黑」。茶杓「月影」。言葉を交わさず、一服で交わり、別れる茶会があってもいいかもしれない。写真:大隅 圭介