S家の厨子

思い出を細部にしのばせた、尊いかたち。

Sさんのお父様のために作ったお厨子。

厨子をつくるために、ご家族のこと、お父様への思いを話していただきました。
お父様が一番うれしそうにされていたのは?
お仕事で出向されたアジアでの写真を見ながら思い出話をしてくれたとき。
現地らしい素材を使ったら?と、チーク材でつくることになりました。

Sさんのお母様は、尼僧さま。
宗派に合わせた装飾品の収納と配置の関係から、扉の裏側を収納にしたことで、その厚みから存在感のある入り口となりました。厨子の内部は、Sさん好みの銀箔を貼り、厨子への思いをカタチにしました。

「念い」をかたちにするために、4人の作り手に参加していただきました。本体と内部の金具は、木工家具作家の 藤崎 均さん。扉のつまみと留め金具は、金工作家の 太田 彩子さん。銀箔は、金沢の金箔伝統工芸師・松村 謙一さんと、仏壇蒔絵伝統工芸師・大竹 喜信さんにお願いしました。

お父様との思い出を細部にしのばせた、尊いかたちとなりました。

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