大崎・S house
- プロジェクト名 大崎・S house
- 計画種別 マンションリノベーション
- 用途 住宅
- 竣工年 2012
- 計画地 東京・大崎
- 構造 RC
- 計画面積 78.9㎡
- 設計 SEKI DESIGN STUDIO
- 施工 英興社
- 撮影 中嶋 大助 関 洋
「 思いっきりピアノを弾きたい 」という願いから、中古マンションを購入し、全面リノベーションを決意した施主。ご両親から引き継いだ松本民芸家具を設えること、愛犬とのくらしがインテリアの大事な要素。家具との相性を考え、スモークした栗のフローリング材を用い、消臭と調湿などの効能に優れた左官材で構成した。リビング・ダイニングのペンダントライトは、職人のつくる和紙製と竹製を設えた。施主にとってのかけがえのないものごとと、今これからの暮らしを調和させた住まいとなった。
plan
愛おしいもの・ことで満たす
Vol.3 品川区・祖谷さん
Apr.2013
- 仕事 マンションリノベーション
- 家族構成 女性
- 場所 東京都品川区大崎
- 取材・文 竹内 典子
- 写真 中島 大助 (無記名分:SEKI DESIGN STUDIO)
中古マンションとの出会い
関
祖谷さんがリフォームを終えて入居されてから、半年経つんですね。以前はここから歩いて 3 〜 4 分の賃貸マンションに住まわれていたけど、ずっとこの近辺で物件を探していたんですか?
祖谷さん
そうではないです。ピアノを思いっきり弾ける場所がほしくて、そのためのスペースを探していたんですけど、たまたま去年のGWくらいに、近所の物件をプラ プラと見ていて、このマンションと出会って、急に買うことに。もともと東京にずっと暮らしていくつもりはなくて、将来は一軒家がほしいと思っていました。 伊豆とかちょっと暖かいところで都心まで通える辺りに、庭があって海があって山があってというのを思い描いていたから、マンションを買うなんて考えてな かったんです。
関
何かピンとくるものがあったのですか。
祖谷さん
正直に言うと、リフォームでこういう空間をつくりたいからという目的があってここをみつけたわけではないので、買ってから、ここに一生暮らすわけじゃない とか言っていたけど、買った以上は自分の空間をつくっていこうと思うようになったんですね。そこで初めていろいろ意識して考えたんです。自分がどんな暮ら しをしたいのかって。
関
自分に向き合う、暮らしを考えるきっかけになったんですね。リフォーム前の部屋は、築30 年前後だからそのまま住むには少し古くなっていてしんどいかなという感じでした。でも、ここは南側リビングからの光の入り方がよくて、玄関側の 2 部屋にも窓があって、いい気を感じたし、角部屋でピアノを弾くにも好都合。よく中古マンションだと、内部は古かったり、空気の流れが悪かったり、ちょっと カビ臭かったりすることが多いのだけど、前の住人の方も丁寧に住まわれていましたよね。
祖谷さん
何かあったかい空気がありました。たぶん前の方の雰囲気だったと思うんですけど、そこがよかったから、中古だけど後押しされたという感じです。
関
女性一人でマンションを買って、リノベーションをするというのは、勇気のいることだったと思います。
祖谷さん
思っていた以上に大変ですね。最初に、雑誌とかホームページを見て、関さん以外にも何人かの建築家やデザイナーさんにお会いしました。その時には、リフォームで自分なりの空間をつくりたいと思うようになっていたから、自分の感性をわかってくれる人がいいと思ったし、そういうことを大事に思ってくれるプ ロの方にお願いしたいと思ったんです。何人もの方が素敵な施工例を見せて下さって、いいなと思える方もいたんですけど、最終的に関さんに依頼したのは、関 さんと一緒にやらせていただくことは、自分への投資になるんじゃないかと思ったからです。たぶんデザインをはじめ、いろんなところで、感性含めて、私が吸 収させてもらえるものがあるんじゃないかって。