「願う・念う・祈る 日常の特別」 展示会リポート

仏壇リノベー ション ― M家の厨子開き ―ほとけにまつわること。
satoshi asakawa
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  • 会期   2016年  4月 8日 – 11日
  • 場所   SEKI DESIGN STUDIO アトリエ
  • 恊働   丸山 弾  表具:武部 正典  三具足:大竹 喜信
  • 会場構成 SEKI DESIGN STUDIO

お施主様の暮らしにあったかたちに生まれ変わらせた、仏壇リノベー ションをご紹介、仏具のちいさな展示会をアトリエにて開催いたしました。仏壇を再利用した厨子、可動式重箱、鏡、文机、花台を展示し、|素|のもの の新しい仏具、三具足と位牌の展示販売も行ないました。

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仏壇リノベー ション ― M家の厨子開き ―ほとけにまつわること。

M さんから 「想いある仏壇を、今の暮らしに合った厨子に再生したい」 と相談を受けました。お厨子の置かれる場所は、リノベーションされたご自宅の離れの和空間です。M さんのご先祖さまを想うお気持ちを感じながら、この空間での暮らし方について会話を重ねました。そしてこの古い仏壇から、新しい厨子と暮らしの道具を生み出しました。

厨子は、仏壇の古い板材と扉と新しいヒノキ材を組み合わせて再構成しました。文机は、空間とのバランスと使い勝手から程よいサイズを導きだし、厨子と同じヒノキ材でつくりました。天板には仏壇の象徴である飾り彫りを象嵌し、過去の記憶として忍ばせました。既存の引出し三段は、ヒノキにアルミ板を合わせたお盆を兼ねた蓋と、キャスターを付けた下台を組み合わせた収納箱に仕立てました。二枚の扉には、鏡を貼り合わせ、離れて暮らす弟さんと「対」で分かち合う素敵なストーリーが生まれました。

厨子と家具の製作は細部にこだわる木工作家の藤崎 均さんに、アルミ板の仕上げは、品質を追求する鍛鉄作家の太田 綾子さんに手掛けていただきました。

文机を使うM さんにとって、どのような体勢が楽なのかを検討した結果、既存の床を掘りコタツのように掘り下げる工事も施しました。M さんのお住まいは、建築家の丸山 弾さんの設計によるもので、仏壇リノベーションの計画は協働で進められました。

M さんにとっての「願う・念う・祈る」 という特別な感情、感覚、行為を、日々の暮らしの中にさりげなく、確かに溶け込ませることに努めました。

この展示会を行うにあたり、2015年に行われた金沢職人塾との展示会のコラボレーションで生まれた、108枚の屏風の一部を表具師の武部 正典さんに、三具足を仏壇蒔絵職人の大竹 外司朗さんにお借りしました。

2014年に製作しました阪口家のお厨子の写真を軸に見立てて展示。
丸山弾さんが設計したM家の写真も飾らせていただきました。
展示会にいらしていただいたカメラマンの浅川 敏さんが、写真を撮ってくださいました。
みなさまのご協力に感謝いたします。

やっとできあがりました大切なお厨子を、お披露目させていただきました M 様に心より御礼申し上げます。

 

 

M家の仏壇リノベーションで生まれたもの。

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新たなストーリーのはじまり。M家の仏壇リノベーションから生まれたもの。

M さんから 「想いある仏壇を、今の暮らしに合った厨子に再生したい」 と相談を受けました。お厨子の置かれる場所は、リノベーションしたご自宅の離れの和空間。

M さんのご先祖さまを想うお気持ちを感じながら、この空間での暮らし方について、会話を重ねました。そしてこの古い仏壇から、厨子と可動式重箱、鏡、文机、花台を生み出しました。

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古い仏壇を、つくり替える

Vol.4 東京都・多田さん
Jan.2017

  • 仕事    仏壇リノベーション
  • 場所    東京都
  • 取材・文  竹内 典子
  • 写真    asakawa satoshi 無記名分:SEKI DESIGN STUDIO ( 写真協力:丸山弾建築設計事務所 )
特別なものではあるけれど、自分たちの暮らしに合うようにつくり替えたい。多田君枝さんにとってのそれは、祖母から伝わる古い仏壇だった。建築・インテリア雑誌の編集長である多田さんが考えついたのは「小さく、つくり替える」こと。家族の思い出と寄り添うものを、どのようにつくり替えて、どう祀るか。建築家・丸山弾さんも連携しての仏壇リメイクについて、3人で語り合った。

古材の感覚で生かす

「古い仏壇を、つくり替えることはできませんか?」という多田さんからのご相談を受けて、初めて仏壇リメイクに取り組みました。仏壇は特殊なものですから、多田さんも僕たちもいろいろと勉強したり、模索したり。とはいえ、やっぱり多田さんらしいものにしたいという思いで、古い仏壇から、新たに小さな仏壇、文机、収納箱、鏡、花台、多用板といったいくつかの暮らしの道具をつくらせていただきました。

それにしても仏壇のつくり替えというのは、なかなか勇気のいることだと思います。まずはその経緯から伺えますか。

多田さん

仏壇は、私が生まれた時に、祖母が持ってきたものだそうです。もとの形は2段でした。女手一つで5人の息子を育てあげたという祖母は信心深い人で、私は初めての女の孫だったこともあって、何かとかわいがってもらいました。

サイズは縦横が約75センチ角に、奥行40センチくらいの仏壇でしたから、その下に同じくらいのサイズの置台があったのかなと。

多田さん

私はいわゆる新興住宅地の核家族で育ったんです。家ではなにかの折りには仏壇に花や線香を手向けていましたが、両親も特定の宗教を持っているわけではなく、法事なども最低限のことしかしていませんでした。ただ、「自分なりの神様仏様」は持っていたようで、そんなところは私も同じかな、と思います。

ご実家にずっとあった仏壇が、どうして多田さんの家に来ることになったのですか。

多田さん

実父が2007年に他界しまして、その後、母は一人で住んでいたんですけれど、2012年に弟と同居することになって、実家は空き家状態が続いたんです。それで、母が実家を処分しようと言い出して、ちょうど私も2013年にこの家に引越して来たので、ピアノを引き取ることにして、ほかの荷物の処分もあって1年くらい実家に通ったんですね。その時に、仏壇をどうしようかと困ってしまって。母は処分してよいと言ったし、弟も同じ考えでした。でも、変な考えかもしれませんけれど、古材という眼で見ても処分するのはもったいないことに思えたんです。

素材として見るところが多田さんらしいなあ(笑)。

多田さん

不謹慎に思う方もいるかもしれませんが、私にはいい古材!という感じで。木目もきれいだし、お焚き上げして燃やしてしまうにはしのびないと。それで、とりあえず自分の家に持ってきて、しばらくしまっておいたんです。でも、このままではどうしようもないので、小さくするのはどうだろうかと考えました。ただ、あまりにも非常識かなとも思ってネットで調べたら、小さくすることをやっている人はいたんですね。しばらく悩んだ後、関さんだったら一緒に真剣に考えてくださるでしょうし、得度なさっている秋山さんにもアドバイスをいただけると考えて相談しました。

僕も初めて仏壇を見せてもらった時に、モダンなというか、家具みたいな印象を受けました。

多田さん

祖母の家の仏間はそれなりに立派でしたけれど、東京だったので、北陸や東北で見るような豪華なものとは違って、どこか家具っぽいというか。でも、祖母が新調したものか、あるいは古い物を買ったのかもよくわからないんです。しかも、祖母は仏壇の素材を桑だと言っていましたが、実際は栓でした(笑)。

栓の板目で、個性的な木目が立っているところを使っているので、きっと桑に似て見えたんでしょうね。

多田さん

栓は、よく欅の代用にも使われた素材ですよね。

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お義母様が育てたお花が美しく育つ庭
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